デジタル印刷とSDGs
環境配慮という側面において、デジタル印刷の最大の特長は、小ロット対応が可能なことです。従来は大きなロットで印刷し、在庫を持ち、不要になったら廃棄するというのが印刷物製造の典型的なモデルでした。このモデルでは在庫の保管費用が発生することに加えて廃棄の際にも様々なムダが生じます。デジタル印刷を活用することで必要な時に必要な分だけを作るということが可能になります。
例えば、出版社で、初版はオフセット印刷で一定の部数を製作し、デジタル印刷で少部数ずつの増刷を繰り返したり(図参照)、逆に初版をデジタル印刷で製作、売れ行きに合わせて増刷分をオフセット印刷で製作したり、デジタル印刷のまま少部数の増刷を繰り返す、といったことも考えられます。
このような取り組みは、単に廃棄のムダを減らすということにとどまらず、これまで大ロットの販売部数が見込めないために出版機会を逃していた書籍を販売することができるという点に価値があります。出版社にとっては収益機会の拡大になる一方、読者にとっても新しい本との出会いが増えることにつながります。デジタル印刷を活用することで、冒頭に述べた「SDGsを事業活動に直接的に取り込み、企業価値の向上につなげていく」ことができるようになるのです。