AR・VR|コラム
22.04.01
「フォトグラメトリ」とはどういうもの?
ARやVRの活用が広がるにつれ、ARやVRで表示するためのコンテンツの制作も重要になってきています。AR・VR上で表示できるコンテンツとしては、従来のような画像やテキスト、動画などもありますが、立体視をするのに最も効果的なコンテンツは「3DCG」となります。今回ご紹介する「フォトグラメトリ」は、この3DCGコンテンツを制作するための技術の一つです。3DCGを制作する方法は幾つかあるのですが、その中でもフォトグラメトリによる3DCG制作はどのような特徴があるのでしょうか。以下に解説していきます。
フォトグラメトリとは?
フォトグラメトリとは、写真からリアルな3DCGを生成する技術です。3DCGを生成するには、対象物をさまざまな角度から撮影した複数の写真を合成する必要があり、生成したい3DCGをどの程度リアルで精緻なモデルにしたいかによって、必要な写真点数は数十枚から数百枚に及ぶこともあります。
3DCGを制作するための手段はこのフォトグラメトリだけではありませんが、それぞれ手段によりに特徴があり、使い分けをしていくこととなります。
3DCGコンテンツの制作方法は?
3DCGを作る方法はいくつかありますが、例えば架空のキャラクターイラストを3DCGのキャラクターにする場合に一般的なのは、3D制作ソフトを使って1からCGを形作る方法です。理論上どのような形でも制作可能ですが、人の手で造形していくため、時間とコストの掛かる手法となります。
一方で、現実に存在する物体を、本物そっくりにリアルな3DCGを作りたい場合には、対象物をレーザーで3Dスキャンするか、ご紹介したフォトグラメトリを使うことが一般的です。
3Dスキャンをする場合には、専用の3Dスキャナーが必要となります。3Dスキャナーはスキャン精度によって、数万円から数百万円まで、様々な機器から選択して使う必要があります。
一方のフォトグラメトリはカメラがあれば撮影が可能で、写真から合成するため3DCG表面の模様などをリアルに表現しやすい特長があります。
また3Dスキャンやフォトグラメトリは、一度対象物のスキャンや撮影が終了してしまえば、機械処理によって生成する部分が大きいので、1から人の手でCGを造形していくのに比べて時間やコストが抑えられることが特長です。
3Dスキャンやフォトグラメトリが苦手とするものは、対象物の表面がツルツルで光沢感のある素材(金属やガラス、プラスチックなど)となっている場合です。3Dスキャンやフォトグラメトリは、様々な角度から読み取った対象物表面の情報を元に3DCGを合成しますが、光沢感のある素材の場合は、角度を変えると対象物表面に異なる情報が写り込んでしまうため、正しく3DCGの形状を生成することができなくなります。また、表面が真っ白・真っ黒など画像的な特徴が無いものも、表面の情報が得られにくいため、合成処理が難しい素材となります。
このような光沢面や単色面の表現はむしろ、3Dソフト上で1から造形することが比較的容易ですので、対象物にこのような部分が含まれる場合には、3D制作ソフトによる造形作業と、フォトグラメトリによる合成処理を組み合わせて制作することで、もっともリアルな3DCG制作が可能となります。
フォトグラメトリによる3DCG制作に必要なものは?
では、現物を3DCG化したいとなった場合、どのようなものが必要となるのでしょうか。フォトグラメトリによる3DCG制作をするには、様々な角度から対象物を撮影した多数の写真と、フォトグラメトリ合成をするソフトウェアが必要となりますが、PCにとってかなり負荷の高い処理となるため、高性能なPCも必要となります。
対象物を綺麗に3DCG化するためには、撮影時の背景の環境や、照明ライティングの設定、また対象物を置いた場合に接地面をどのように撮影するかなどについても、正しい設定をしていくことが重要となります。
フォトグラメトリによる3DCG制作のフロー
フォトグラメトリで3DCGを制作する場合のフローについてですが、まずは対象物の写真撮影が必要となります。ここで上手く撮影ができれば、その後の3DCG合成処理もスムーズとなります。
次に、撮影した写真をフォトグラメトリ合成処理をするソフトで処理をかけていきます。対象物によって、このソフト上で最適な設定をしていくことで、現物に近い3DCGが生成されることとなります。
フォトグラメトリ合成が上手く処理出来て、現物に近い形が作られた場合でも、そのままでは3DCG表面の「質感」が現物とは違和感がある場合があります。例えば、布の生地をフォトグラメトリ合成したはずなのに、3DCGの質感はまるで陶器のように固そうに見える、といったことはしばしば起こりえます。このため、3DCGの形状を生成した後に、質感を細かく調整していく作業が必要となります。ここでの調整作業次第で、見た目のリアルさが変わってきます。
まとめ
今回は、「フォトグラメトリとは何か?」について解説いたしました。今後ますますARやVRの活用が広がると、必然的に3DCGコンテンツも必要となってきます。遠隔地で現物が直接見られない場合でも、フォトグラメトリによる3DCGがあれば、対象物を細部までリアルに確認することが出来るようになります。このようなフォトグラメトリによる3DCGは、Webを介した遠隔地コミュニケーションでの現物確認や、教育、また映像作品やゲームなどの演出素材として活用が広がっていくことが予想されます。
当社には文化財撮影・商品撮影などの豊富な知見を持った撮影スタッフ・スタジオがあり、精緻なフォトグラメトリ3DCGの制作を提供することが可能です。もしこのような分野にご興味がある場合には、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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